広報 あぐい
2007.08.01
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あぐいぶらり旅
〜阿久比の道を行く(名古屋半田線・新田福住線)〜

シリーズ 阿久比を歩く 57

 



福山川と英比小体育館



昨年開通した福住新橋


今回は県道と町道が続く名古屋半田線と新田福住線にぶらり旅に出掛けた。

オアシス大橋東の交差点から北へ向かう。東側には阿久比団地が続き、西側を眺めると田園、阿久比川そして卯之山地区の民家が軒を並べるのが見える。

雨の後で道路が完全に乾いていない。友人が水たまりを見つけて、「子どものころ水たまりがあると、無性に入って飛び跳ねたくなりませんでしたか」と話し掛けてくる。「やったよね。梅雨時に、靴の中をぬらすとなかなか乾かないから親によくしかられたな」と私が少年時代を思い出していた矢先「ピシャ」。泥水が飛び散る。「君もまだまだ大人になりきれていないな。家に帰ったらおふくろさんにしかられるぞ」。友人は頭の後ろをポリポリとかいていた。

左手前方に英比小学校が見えてきた。耐震化のために新しく建て替えられた体育館は、スポットライトが当たっているかのようにまぶしく輝いている。アーチ型の屋根の曲線も美しい。

歩を進め、昨年の1月に開通した福住新橋を渡る。橋の下には福山川が流れ、水は東の方から阿久比川へと流れていく。

西尾知多線にぶつかる。信号が赤から青に変わるのを待って、横断歩道を渡る。さらに北へ向かう。だんだん道路の勾配がきつくなる。自転車に乗る子どもたちがサドルから立ち上がり、おしりを大きく左右に揺らしながら必死にペダルをこいでいる。マラソンコースならば“心臓破りの丘”とでも言うような坂道が続く。昨日の飲み会の疲れもあり、私たちの体力も極限状態。「マラソンランナーならこんなとき何を考えているのかな」。「栄光のゴールの瞬間じゃないですか」。「かっこいい。君は今、何考えてる」。「ぬれた靴が明日までに乾くか心配しています」。友人は先を見つめずに、足元ばかり気にしていた。

坂を上り切り、大きくカーブするようにして新田福住線を歩く。高根台地区の閑静な住宅街が並ぶ。庭先に施された花や観葉植物のガーデニングが目を楽しませてくれる。東浦町と境付近の街路樹からセミの鳴き声が聞こえる。小学生2人が街路樹の下からのぞきこむ。セミの声がしなくなると、子どもたちはすぐそばの水たまりで無邪気に水の飛ばしっこを始めた。先ほど、どこかで見た光景を思い出す。友人は足元を見つめていた。



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