広報 あぐい
2006.11.15
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あぐいぶらり旅 〜村絵図を歩く(白沢村)〜

シリーズ 阿久比を歩く 40

 


白沢村絵図
(阿久比町誌資料編1村絵図解説書から)



北原天神に建つ石碑



宝安寺所蔵の「円空仏」


天保12年(1841)に描かれた阿久比村16カ村の村絵図を見ながら歩くシリーズもこれまで15カ村を歩き、残すは白沢村1つとなった。その白沢村絵図を見ながらシリーズ最後のぶらり旅に出掛けた。

菊薫る秋。民家の軒先には丹精込めて作られた菊の鉢が並ぶ。最初に「寶安寺」と記された現在の宝安寺を訪れる。花に水を掛ける“お庫裡さん”に声を掛け、寺にまつわる話を聞く。

町指定文化財「円空仏」を所蔵している寺でもあるので、その仏を見せてもらうことにする。円空仏は薬師如来である。
「11月8日は薬師さんの命日で、毎年前日に餅をついてお供えをします。当日の夜、地区の人たちが集まり、お参りをした後に餅を持ち帰り食べると、1年間健康に暮らせると言われていますよ」と話してくれながら円空仏が安置されている場所まで案内してくれる。

厨子の扉は開かれ、その中には仏がふくよかな顔立ちで、にっこりとほほ笑んで膝の上に結んだ手をのせて座っている。なぜこの寺に円空仏があるのか尋ねると「江戸時代、円空が旅の途中に白沢村の庄屋さんの家に泊まり、貧乏僧だった円空はお金の代わりに仏を残していきました。庄屋さんが自分の家では成仏できないから寺で預かってほしいと持ってきたらしいです」と説明してくれる。

目の病気を治す不思議な力を持つ“薬師さん”として口伝えに広がり参拝人が絶えないとのこと。仏頂面とは違う一風変わった、どこか憎めない円空仏の顔をしばらく眺める。

「八幡宮」と記された現在の八幡社に行き、最後に「天神」と記された現在の北原天神を訪れた。

北原天神は、天暦9年(955)菅原道真公を祭神として英比麿住居跡に建てられたとされている。

天神のシンボル「牛像」が境内奥にどっしりと構えている。今さら賢くなるとも思えないが私は牛の頭をなでる。友人は「のどが痛くて鼻水が出る」と言って、牛のあごの辺りをまんべんなくなで回し、鼻の穴を触っていた。(天神は学問の神である
はずだが…。)

今回で「村絵図を歩く」の連載を終了します。次回からは「伝説の地を歩く」を連載します。



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