広報 あぐい
2006.04.01
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あぐいぶらり旅 〜村絵図を歩く(宮津村)〜

シリーズ 阿久比を歩く 25

最近、広報の取材先で皆さんから、「ぶらり旅読んでますよ」と声を掛けられるようになった。うれしい限りだ。今回は宮津村絵図を見ながら歩いた。

萩村境から北へ向かって歩き始める。周りは雑木林で囲まれている。舗装されていない道にはどこからか水がわいているのか水分を含んで湿っている。やがて谷性寺が見えてきた。

村絵図には谷性寺横には、はっきりと太い線で道がある。現在もほぼ変わりなく道が続いている。

道の突き当たりで左に曲がり、西へ行く。光西寺を横切る。この辺りには、見上げるほどの黒い板壁の家屋が見られ、古い町並みの景観が残されている。

村絵図に氏神と記されているのは、現在の熱田社。ここまで来て、再びもとの道に戻り、宮津の“メインストリート”を歩く。

集落を南北に通じる道の両側には金物屋、酒屋、呉服屋、雑貨屋などが並び“阿久比の江戸”と呼ばれていたそうだ。今はかつてのにぎやかな商いのまちとは全くイメージを変え、静かな雰囲気に変わっている。「小学生の時に母親といっしょに体操服を買いに来たのがこの辺りで、魚屋さんもあそこにあったかなあ」と友人が20年前の少年時代を懐かしんでいた。

いつもなら誰かと出会い話しをするところだが、今日は誰にも会わない。友人と2人だけで寂しいぶらり旅。猫の子1匹にも会わないとはこのことを言うのだろうかと冗談を言っていた矢先、丸々と肥えた猫が目の前に現れた。(うわさをすれば影。)

北組山車蔵の前に庚申堂がある。村絵図にも庚申とある。厨子に納められた木造「青面金剛」が安置されていたらしいが盗難に遭い今はない。堂をのぞくと写真が飾られている。

蟹田川にたどり着く。阿久比川に向かって川沿いを歩く。鳥たちが飛んでいる。えさとなる虫たちが冬眠から覚めて動き始めたのだろうか。

北の方角には区画整理が進み、新しい家が少しずつ建ち始めている。何年か後には、現在とは全く違った姿になるだろう。変わりゆく風景を目に焼き付け今回のぶらり旅を終えることにする。


宮津村絵図(阿久比町誌資料編1村絵図解説書から)



谷性寺に咲く梅の花



宮津の“メインストリート”



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