広報 あぐい
2006.02.01
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あぐいぶらり旅 〜史跡を巡る(横松遺跡)〜

シリーズ 阿久比を歩く 21

 

横松遺跡を訪れた。昭和60年から数回にわたる調査で縄文土器や矢じりが見つかり、現在のところ町内唯一の縄文遺跡である。

町誌の資料で場所を確認し、遺跡は横松の神明社東側一帯に存在することが分かったので、まずは神明社に向かった。

新しい年となって2週間が過ぎる。神社境内の拝殿正面には、しめ縄が飾られ、正月の名残りはあるが、人影はなくひっそりとしていた。目印となる看板もなく、現地は遺跡という感じは全くない。

あわよくばナウマンゾウの牙の化石でも見つけ考古学の定説を打ち破るような大発見をと、ひそかな夢を抱きつつ周辺を歩いた。

自転車に乗っている男性に出会う。「この辺りに縄文遺跡があることをご存知ですか」と尋ねると「詳しいことは知らないけど、ずいぶん前にあの畑の辺を発掘してたかなあ」と民家の裏側の畑を指さして教えてくれた。うれしいことに、男性の自転車のかごの中には私が作った広報あいが入っているではないか。配ってくれている途中だと分かり「実はこの広報、僕が作りました。これからも読んでくださいね」と宣伝をして男性と別れる。

畑の方に行ってみることにする。畑には民家の敷地を通らなければ行けないので、住人の方(気さくな夫婦)に許しを得て中へ入れてもらう。「何か掘ってたみたいだけど、あまり珍しいものは出てこなかったみたいだよ」と夫婦は笑いながら話してくれた。

畑で白色に風化した貝を見つける。もしかして縄文人が食べた貝ではないかと思い、手に取って眺めていると「それは、食べた貝を肥料にするために何年か前にそこに捨てたものだよ」と縁側で日なたぼっこをしている夫婦に言われた。やはり大発見は、専門家によるち密な調査に委ねることにする。

「史跡を巡る」の連載は今回で終了します。次回からは「阿久比の村絵図を歩く」を連載します。


◆拡大図はこちら◆
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縄文遺跡のある神明社境内


以前に発掘が行われた畑


発掘調査で出土した矢じりや土器
(中央公民館本館展示)



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